院長コラム
Column
総合内科専門医
2019年12月21日
先日、総合内科専門医の試験の結果報告があり、なんとかめでたく合格することができました。
来年までに取得しないと、再度研修指定病院での症例サマリーをすべての分野できっちりとそろえ直さないといけなくなるルールなので、実質ぎりぎり追いつめられての合格です。
HP内の紹介でもこそりと認定医から総合内科専門医へと変更しておきました。
本来は独立開業前にとっておくはずだったのですが忙しさを言い訳に受験の申し込みを忘れていたので、今までひきずってしまうこととなりました。
試験では新た病気や新薬、最新のガイドラインについてもかなり問われますので、昔の知識だけでは太刀打ちできません。
聞いたことのない新たな病気や新薬の名前がならんでいるのを見つめているとめまいもしそうでした。
できるだけ要領よく合格したいと思っていましたが、最終的にはそれなりには勉強することになりました。
いざ勉強を始めると20年前と比較すると見える景色が違いました。特に肝炎や免疫疾患についての治療は革新的な進歩ですよ。
問題はかなり難しいと思います(私にとっては?)。おそらく内科の分野のみで比較すれば医師国家試験の数倍は難しいのではないかと感じました。
医学は日進月歩の進化を示しますのでこれからも継続的な学習は必要ですが、知識詰め込み暗記型の資格試験はこれで人生の最後にしたいものですね。
世の中には専門医がたくさんありますし、いったい総合内科専門医って?と思われる人も多いと思いますので、内科系専門医のしくみについて少し概説します。
もちろん敢えて専門医をとらない先生もいますし、患者さんも〇〇専門医だからあの病院やクリニックの先生にかかろうとは思わないのだと思います。
医学博士もそうですが、なければ寂しい個人の勲章のようなものなのかもしれませんが。
まず内科学は循環器、消化器、神経など13分野にわたりますので、この専門医はかなり広い分野をカバーする資格です。
内科系の専門医資格は三階建てといわれています。それぞれの段階で研修に関連する症例の提出と試験が義務付けられています。
一階のベースとなる部分が比較的幅広い分野をカバーする日本内科学会が管轄する領域です。
まずは最初の関門として内科認定医になる必要があります。内科認定医になるためには研修病院での内科医としての勤務歴が必要になるので、もとは内科出身であるという証のようなものです。
総合内科専門医は認定医のより踏み込んだ専門版というところでしょうか。今回はこの領域の資格ということになります。
数年後には内科専門医の資格に移行するようです。大きな研修病院では、内科指導医にあたります。
その次の二階の部分が臓器別ということになります。私の場合は日本循環器学会が管轄する循環器専門医です。
内科の認定医の取得後に3年程度の学会が認定する研修施設でのトレーニング後に取得することができます。一般的にはこの階の分野までが街の看板では、〇〇専門医と広告として標榜してもいいとされています。
さらに三階の部分は私の場合、日本不整脈心電学会が管轄する不整脈専門医です。ここまでくるとかなりマニア感がでてきます。循環器専門医取得後に、同学会が指定する教育施設の勤務後での認定です。
かなりしっかりした学会だと思うので、将来的には広告標榜することもできるようになるかもしれません(今でもHPの中では記載が許可されているみたいです)。
もちろんまだまだ内科全体を理解するには程遠く、自分の未熟さをあらためて確認しました。
おそらくクリニックまわりの環境やニーズも考慮すると引き続く循環器・不整脈領域を中心とした診療を継続していくのが患者さんのためにもなるのでしょう。
しかし実地の内科クリニックの開業医として、周りの医療施設とうまく連携していくためには、少し自信を与えてくれるよい機会になったのだと感じています。