院長コラム
Column
熊
2025年11月29日
ニュースでは熊と人間とのトラブルの話がもちきりですね。
多くのトラブルは東北地方でのことですが、関西においても他人事ではなく、近隣の奈良県や大阪の北部でも目撃されています。
気になると探し出すということもかるのかもしれませんが、生息域が増えているのは間違いないのでしょう。
ちなみに本州ではツキノワグマですが、北海道ではヒグマです。近いのになぜ違うのでしょうか?
今の日本は海に囲まれていますが、数万年前の「氷河期」は海面が下がり、日本列島の一部は大陸と陸続きになっていました。
しかし、北海道と本州の間(津軽海峡)は海が深く、完全にはつながりませんでした。
北海道は、北側の樺太やシベリアと陸続きになり、そこを通って寒さに強く体の大きいヒグマやマンモスなどが渡ってきました。
一方、本州・四国・九州は、西側の朝鮮半島や中国大陸と陸続きになりました。そこを通って、ツキノワグマやナウマンゾウ、イノシシ、猿などが渡ってきたとのことです。
熊といえばなぜか少年時代にテレビで見た極真空手出身の熊殺し(ヒグマ)のウィリーウィリアムことを思い出してしまいます。
当時は人も鍛えれば熊と闘って勝てるのではと勝手に空想していました。しかし今思い返すとそれは間違いで、あまりにもの体格差に人では格闘して太刀打ちできないのだということは理解できます。
話がいろいろと脱線していますね。ご容赦です。
いずれにせよ熊と闘って勝てるわけではないので、出会わないように距離をとるということが基本なのでしょう。
遭遇事故を未然に防ぐため、いくつかの予防策が国や自治体主導で考えられているようですが、現場への経済的な補助が不十分なこともありうまくすすんでいるとはいえなさそうです。
私自身も少し前、北海道で山の散策(観光地の近隣ですよ!)をしている時、目の前に突然木が倒れてきてヒグマと遭遇したことがありましたが、今思い返すとその時はまさに私の命の危機だったのでしょう。
お隣の中国では広い国土に大きな山々もあるので、さぞかし熊とのトラブルが多いのではと思うのですが、中国の方に聞くとほとんどそのようなトラブルは聞いたことがないとのことのことです。
その理由は、動物を見つけたらすぐに食べてしまうからだとのことです。
確かに中国では昔から熊を食する文化あります。
日本と違ってカラス、鳩なども見つけてもほとんどすぐに捕まえてしまうので人の周りに決してよってこないとのことです。しらんけど?
相手が生命的な恐怖を強く抱けば自然とお互いの距離は遠くなるのでしょう。
言われてみると、私の子供の頃ではスズメは遠くで見つめているものと思っていましたが、捕まえて焼き鳥にして食べる習慣がなくなった現在、足元までよってくるようになってきたような。
本来保護されるべき希少な動物を駆除するのは心苦しいですが、駆除する動物は工夫してでも人が食するという循環は、トラブルを防ぐとともに自然の摂理にもかなうのでしょう。
そしてそれを経済的に支えるしくみも加えて必要のような気もします。


