院長コラム
Column

思いを言葉に

2025年03月31日

なんとなく不安ですっきりしない。なんとなくうまくいかないのだが、なぜかよくわからない、ということはときおり感じます。日常の業務や仕事においても当てはまりそうです。

「なんとなくよくわからない」そんな言葉にならないモヤモヤは、私たちの行動を躊躇わせそうです。

日常の診察においても、私は言葉にならない感情が心身に及ぼす影響を痛感しています。

患者さんにも「なぜそのように感じるのですか?」ときいても返事がいただけない時がよくあることに気づきます。

私自身も急に聞かれると言葉につまることもありそうです。「いままでなんとなくそのようにしてきたから」という答えもあるのでしょう。

その奥に潜む感情が身体の不調をきたしているのかもしれません。そしてうまく言葉にできない感情は、徐々に心身を蝕んでいきそうです。

それは、自律神経の乱れ、ホルモンバランスの崩壊、免疫力の低下などを引き起こし、様々な疾患の発症や悪化に繋がるのでしょう。

もし私たちが、そのモヤモヤを言葉で適切に表現することができれば、少しは心の靄が晴れてすっきりしそうです。

「本当は何を望んでいるのか」「なぜうまくいかないのか?」を言葉にすることで、私たちは初めて自分自身の心の針がどこを指しているのかを知ることができるとも言えそうです。

そして、その針が指し示す方向へ、私たちは新たな一歩を踏み出すことができるのでしょう。

そのためには、少し立ち止まって心を整理して考える時間も必要です。

また、言葉で表現することより他者との深い繋がりを生み出し、私たちは周囲の共感や協力を得ることができます。

いわゆるリーダーといわれる人はチームの問題点をうまく言葉にして共有することが大切な役割だともいえそうです。

「本当は何に不安で困っているのか」「本当は何を望んでいるのか」「本当は何を分かち合いたいのか」。

より具体的に、感情と事実を区別、問題を小さく分解、他人の視点で、言葉に書き出すことなどで思考が整理され、人に話すことでさらに問題が明確になるようも思います。

言葉にすることは、心や体へのデトックスなのかもしれません。

言葉にすることで、感情は解放され、心や体の負担は軽減されます。それは、心や体調の安定や病気に対する抵抗力をつけることに繋がるような気もします。

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