院長コラム
Column

高血圧パラドックス

2026年01月31日

血圧管理への理想的な目標値は、どんどん厳格になってきています。

少し前までは140/90mmHgというのがわかりやすい目安値でした。しかし2025年の高血圧治療ガイドラインでは、家庭血圧を125/75 mmHgまでにしましょうという推奨されています。

もちろん白衣高血圧症もありますので家庭での血圧が基本ですが、クリニック来院時の理想値も130/80 mmHgまでとされました。

この基準でみると4500万人が高血圧に分類され、3人に1人に当てはまるとされます。

厳密すぎるのではという異論もでそうですが、例えば50歳から適切に血圧管理をすれば、寿命を約3年、健康寿命(介護不要な期間)を最大で10年近く長くする可能性があるとされていますので、適切な管理は重要です。

まず脳梗塞、心筋梗塞、心不全などの循環器病の発症を予防するということが寿命を延ばす主因ですが、認知症やフレイルなどの抑制にもつながりそうです。

適切な血圧管理にはまずは塩分、食事、体重、運動などの生活節制が基本です。

しかし、それでも不十分な場合は薬も飲む必要があり、それがクリニックに来院いただく理由にもなります。

日本の方は血圧を測るのは熱心です。家庭用の血圧計は4000万台以上購入され、世界有数の健康意識の高さです。

しかし、実際に血圧が適切に管理されている人の割合は30%未満とされ、世界の先進国の中では最低であり、それを高血圧パラドックスといわれています。

悪く言えば中途半端な状態がだらだらつづいているともいえそうです。

一方、お隣の韓国では半数以上が適切に血圧管理されています。

韓国の人は手っ取り早く結果を求めるパリパリな国民性なのに対し、日本人独特の慎重なメンタリティーが関係しているのでしょうか。

日常の診察を振り返っても、中国や韓国の方のほうが薬への抵抗感はなく治療に積極的なようにも感じます。

患者さんの意向も読み取り、多くの日本の医師の指導もできるだけ少しずつとかなり慎重な指導スタイルだそうです。

週刊誌やUチューブでよく血圧を管理しなくていいと主張している医師もおられますので、その意見を信じている人も多いのでしょう。

しかし、専門外の医師の意見も多いですし、どうしてもその主張にはなにかしらの陰謀説や功名心を感じてしまいます。

また、血圧が知るが怖いので測らないという方もおられます。

しかし血圧をきっちりと測定して健康意識を高めるだけでも、予後の改善につながる可能性が高いとされていますで、せっかく気にしているのにその反応はもったいないと思います。

今後、高齢者の医療費削減については議論されることになっていきそうですので、中年からの適切な血圧管理の重要性について今後さらに啓蒙されていきそうな気配です。

血圧を長期間に適切なレベルにしておくということは、将来の元気で自由な時間を延ばすためにも大切であることを改めて留意しておくことが必要なのだと思います。

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