院長コラム
Column
オンラインワーク
2020年07月05日
コロナ禍の3蜜予防のため、オンラインビデオによるテレワークがどこの業界でもすすんでいます。通信環境の劇的な進歩を遂げつつありますので、ポストコロナにもこの傾向はつづいていきそうな気配です。
コロナ感染のため、テレワークの広がりが加速されたということなのでしょう。
ビジネスの世界では会議や連絡事項の確認作業など、以前よりあたり前のようになされていたのでしょうが、営業や販売など従来では現場でなんぼという作業にもどんどん広がりつつあるようです。
トヨタなどの製造業でも今後もテレワークによる労働を拡大していくそうです。今年の新入社員の面接もビデオ面接です。
テレワークの広がりをきっかけとした情報革命により、様々な分野の構造が変革されてくる気配です。
クリニックの診察でも、テレワークのことは時折話題にのぼります。
なれないテレワークによるストレスで少し調子が悪いという方もおられます。
また、在宅時間が長くなるため、外来にこられる患者さんも外出するのが久しぶりとか、運動不足のために少し太ったといわれる方もおられます。
飲みにいく機会が少なくなったのでアルコールの接種はへっているよにも思うのですが、逆に家のみが増えたため、飲む量が増えたといわれる方のほう多いのが不思議です。全国的なアルコール消費量も増えているようです。
こと健康にとっては、テレワークはよくないのかもしれません。意識して運動する必要もありそうです。
従来、医療は現場あってのものなので、テレワークは無縁で情報のデジタル革命とは縁遠いかなりアナログよりの業界だと思います。
しかしそれでも、3蜜予防でテレワークは少しずつ確実に広がりつつあります。
身の回りを見渡してみても、7月開催の日本循環器学会総会はオンライン会議になりました。
数回連続で休みとなった開業医の勉強会もビデオ会議での意見交換となりました。薬の説明も今後ビデオにての面接をお願いしますという会社もでてきました。
いろいろと便利なオンライン会議のアプリケーションもできてきているようですし、確かに実際集まるよりオンラインのほうが能率的です。
こと学会に関しては、ほとんどは日常診察時間中に開催されるためことが多いため、多くの開業医は参加できません。開業医の立場になって研究会や学会に参加することの困難さがわかりました。
一方、忙しい病院で働く若い先生方も学会に参加するのは難しいのだと思います。
先進的な研究施設や大きな総合病院で働く医師のみならず、若いDRや開業医に継続的に先進的な知識を啓蒙していくことも学会の役割だと思うので、個人的にはこれからはオンラインでの会議にして、都合のいい時にダウンロードできるon demand方式にしてくれればいいと期待してしまいます。
また、日常診療でもオンライン診療がひろまりつつあります。コロナ禍では、患者さんが来院されるのを怖がられるために初診の患者さんに対しても臨時的なオンライン診察が保険診療で認められることになりました。
患者さんにとってはいろいろなメリットがあるのだと思います。しかし、触診のない無責任な診断にはきをつける必要があります。
そして今のところ医院の運営という点ではかなりきびしいと感じられる先生は多そうです。
コロナ禍では多くのクリニックや病院はただでさえ収支はぎりぎりの状態です。オンライン診療は同じように時間を使っても従来の診療の半分程度の保険点数しか認められませんし、売り上げの数%以上はカード会社や電子カルテの会社に払わないといけないので、かなり赤字覚悟の運営となるためです。
もちろん当院もオンライン診療には対応していかないといけない課題ですが、今のところまだまだ実力不足なのかもしれません。
オンラインはうまく使えば地方の衰退や過疎化に歯止めをかけることが期待できそうですし、地域医療に役立つのだと思います。
しかし、中心となる本社のほとんどは東京にあるため、一歩使い方がかわると東京の一極集中をますます助長する可能性もでてきそうです。
診察においても東京の医師がリモートワークで大阪を含め地方の患者さんをすべて診察していくという将来像は医師会も問題としている構図です。
利便性のみならず地域の将来像を考慮することも大切なのでしょう。
オンラインのデジタル分野では中国はあっという間に日本を追い抜かしていきました。こと経済的な競争力をたもって雇用を確保していくためにはオンライン革命についていかないといけないのでしょう。
今は100年に一度の変革の時だといわれてますが、これからもつねに変革しないと仕事していくことのできない時代なのだという気もしてきます。