院長コラム
Column

リモート葬

2021年09月09日

緊急事態宣言下での大阪みなみの街並みをみわたすと、どうしてもコロナ禍での飲食や観光業を心配してしまいますが、よくよく考えてみると日本の昔ながらの冠婚葬祭が最も強く影響をうけたのではないかという気もします。

昔から伝えられてきた文化や伝統が変化する大きなきっかけになったのかもしれません。

冠婚葬祭の中でも、医療では葬儀と密接ですが、この分野もかなり変化がおきていそうです。

コロナ禍では、病院では病人との面会も制限されますし、親族の方が他界される人の顔を直接きっちり拝むことも困難です。

最近では、わざわざ現地に伺って集まらなくてもできる、オンラインでのリモート葬も一部試みられているとのこと。

親族が遠方にいたり、海外に居住している場合、コロナ禍では移動するのは困難ですので、確かにオンラインでのリモート葬は有用ですね。

確かに葬儀も3密になりえますし、コロナ禍においてはわざわざ集まる必要もなくなってしまったことなのでしょう。

そして、やり方によってはより多くの人が訪れることもできそうです。

現地のスタッフがオンラインに映し出された映像をもとに、現地のスタッフが代わりにお焼香をするとのこと。

情緒もないし親族一同が現場に集まることに意義があるのだという反論もでそうですが、故人を愛おしむ心が大切なのだということであれば、モニターに映し出されたお墓や位牌の映像をみながら手を合わせて祈るということでもいいような気もしてきます。

また、お墓に対する考え方も人それぞれなのでしょう。

後の世を信じるのであれば立派に祀ってほしいと思うのかもしれませんし、自然にかえると思うのであれば最低限のものでよいという人もいるのでしょう。

人の命は周りの人の記憶から消えたときに終わるといいます。故人を思い出し敬う気持ちがあれば、形式にこだわる必要はないかもしれません。

思い出した時にすぐにアクセスできることに意義があるのであれば、故人に関係するものを写真やデータとしてオンラインのクラウドの中に保存し、そのサイトに訪れてお参りをするという考えもあるのではとも妄想してしまいます。お気に入りの曲もいいですね。

私も思いついた時に、亡き父のお墓参りにいきます。天気がよく、気持ちのいい風吹く時には海辺のお墓からでてきて風にのって自由になってはどうですかと想う時もあります。

「千の風になって」という大ヒット曲がありました。

♪私のお墓の前で泣かないでください。そこに私はいません。眠ってなんかいません。千の風に、千の風になって。あの大きな空を吹きわたっています。♪

歌詞はとてもシンプルなのですが、多くの人の心に響くものです。

この曲を口ずさむと、私の葬儀の後には形にこだわらず自分の骨の一部は風にまき、自由により遠くの場所にもいけるようにしてほしいという気にもなってきます。

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