院長コラム
Column
見る目は色々
2021年11月18日
色の見え方は様々です。彩への色覚にも個人差があります。
色覚とは光による反射の波長の違いにより感じ取る能力です。その感知能力には個人差があるということなのでしょう。
一般的には女性の方が男性より色彩には敏感です。
男性の多くは赤、青、緑の3色をもとにそれぞれの色を合成処理して判断していますが、女性の半数以上はそれに加えてオレンジ色を認識しているという説もあります。
果物のオレンジは、男性には女性より少し赤くみえ、緑の草は男性には少し黄色がかってみえている可能性が高いようです。
魚類、鳥類、爬虫類は我々には見えない紫外線型を含めた4つの原色素を感じとれる視細胞を有しているとされています。
確かにこれらの動物では、哺乳類より多彩な色が多いように感じますので、私たちには見えない特別な世界が見えるのかもしれません。
私の子供時代には、爬虫類である恐竜は灰色とシンプルな色合いとして描写されていましたが、気がつくと最近の図鑑ではカラフルに彩られていますね。おそらく恐竜時代は我々の予想よりもっと鮮やかだったのだと思います。
色覚は哺乳類の進化過程でもいろいろ変化してきたとされています。
哺乳類は色彩恐竜の時代、哺乳類は虐げられ陰や地下などの暗い世界に生活せざるをえなかったため、多くの色覚は必要なかったのだそうです。
そのため、4色の色覚が2つに減少してしまいました。
犬や猫など多くの哺乳類は2つの色覚だけにより景色を判断していますので、我々より色覚はおとります。白黒の映像のような色合いで見えているようです。
人類は、猿類として木の上で生活する猿類の時代がきました。その時に緑の色覚を追加獲得したとされています。
木の実などのカラフルな色合いを認識するには必要だったのでしょう。
そして、人類の祖先の誕生地であるアフリカのサバンナでの生活へと続きました。
緑が多くない土色の多いサバンナの景色では、鮮やかな色覚で判断する必要は少なくなったのかもしれません。
また、色彩がシンプルなほうが形態の変化をより速くとらえやすいため、狩りの能力は高くなりそうです。
男性は素早さの変化を目で捉える能力は高いとされていますので、狩りを担当してきたなごりともいえそうです。
欧米人の男性の10人に1人、日本人の20人に1人は赤緑色弱ですが、女性では赤緑色弱はほとんど皆無です。
男性は、狩りのためせっかく獲得した緑の色覚の一部あえて手放したとも言えるのでしょう。
その後の現代では、再度色覚が必要な時代になってきました。
おそらく、彩溢れるファッションや芸術など、人の見え方・感じ方や趣向も様々なのでしょう。自分が見て感じたことを相手に押しつけることなく、個々の感性や性にまかせるということでいいような気もします。
そして、空飛ぶ鳥や浅瀬の魚には、我々よりもっと色合いの深いカラフルな景色が眼下に広がり、人には知れないメッセージを感じとっているのではとも妄想してしまいます。