院長コラム
Column
GAPを埋める
2023年12月28日
あっという間に1年がたち年末です。
この1年も振り返ると、いくつかの理想をたててはみてもそれを達成するのは難しいものだと実感します。
おそらく多くの人がそう感じるのかもしれません。
理想と現実のGAPがあるということなのでしょう。そしてそのGAPをうまく埋めることができなければ、理想を追い続けていくのが難しそうです。
しかし、「言うは易く行うは難し」、実際には簡単なことではありません。まずは現状を冷静かつ客観的に評価することも必要です。
若い時代では、自分のことを客観的に判断でいないため、そのGAPはより大きなものになりそうです。
倶楽部、勉強、運動、交友関係などなど、理想とのGAPをうまく埋めることができないために途中であきらめてしまったということは多くの人は経験してきたことなのでしょう。
また、大きなGAPを埋めるためには健康で元気な心と体力(エネルギー)も必要です。自分へのかなりのダメ出しに耐えないといけないからです。
心が弱っているときでしたら、無理をしすぎるとそのGAPの大きさに失望して病気をおこすかもしれませんし、その失望からさらに心が病むということにもなりかねません。
おそらく多くの人は、急なGAPを耐えられないのでしょう。
考えてみると多くの病気でも宛てはまるような気もしてきます。
例えば、心筋梗塞や脳梗塞など突然に血管がつまる急激な生体への障害(大きなGAP)はダメージが大きく命を落とすことにもなりえますが、前触れがありすこしずつ詰まる(小さなGAP)とダメージはすくなく後遺症も少なくなります。
そして再生する臓器では、うまく乗り越えることができればそれに反応してより強い状態へと変化するという反応もありそうです。
人の心と体はそのようにできているのでしょうか? 歳をとると急に無理をしすぎると体にこたえるので、それを実感することも増えてきているような気がします。
もちろん個人差はあります。しかし、急な変化を期待するのではなく、GAPは大きくなりすぎないようにすこしずつ着実に調節しながら埋める工夫をすることがキーワードなのかもしれません。
そのためには、具体的な理想をたてて、それに足りないものを書き出す、より身近なものへと修正するなどの現実の自分との対話も必要なのでしょう。
そして高い理想への到達は時間も必要そうです。
歳とともに最初から諦めてしまうという反応もでてきそうですが、それでは進歩はないし、寂しいものです。
変革期の今、医療も含め日本全体でも変化がもとめられています。その理想と現実とのGAPを埋めていく着実な創意工夫と理解が必要なのだと感じています。