院長コラム
Column
光をあてる
2024年09月30日
同じことが起きても、ある人は酷い目にあってよくなかったといい、ある人は良い経験をしてよかったといいます。
お金がないとずっと嘆く人も、なくても気にせず工夫して楽しむ人も。
物事にはいいころも悪いところも。解釈が違うのは光を当てるところが人より違うからなのでしょう。
ネガティブなところに光を当てることは現実的ともいえそうですが、元気がなくなっては困ります。
機嫌よく元気でいるためには、できるだけポジティブでよいところに光をあてる習慣が大切なのでしょう。人生の達人はそれが上手そうです。
日常の診療を思い返してみますと、「困っているところはないですか?」「悪いところはないですか?」とあえてネガティブな部分に焦点をあてて、掘り返している時が多々あるような気も。
もちろん病気のみならずその治療には少々のリスクも起こりうるので、ポジティブとネガティブな両面があります。
そのリスクバランスで考えるということになるのですが、リスクばかりに光をあてすぎると何も治療しないほうが無難という判断にもつながりそうです。
もちろん客観的・現実的な判断が基本なのですが、もう少しポジティブなところへ光を当てるべきなのではと気づかされます。
「生活改善に努めている。」「薬がちゃんとのめている」など、頑張ってよかったことに光をあてるような診療をできるよう工夫していきたいものです。
患者さんも心の状態などでどうしてもポジティブで元気になれないという時もあるかもしれません。
重症の場合には神経の薬での治療も必要かもしれませんが、運動をするなどして心と体の状態を変えてみるということもよさそうです。
考えてみると、こと健康面でネガティブなことをポジティブに変える手助けをするのが、医師の診療なのだともいえるのでしょう。
たとえ重症の患者さんでも、精一杯元気にふるまっておられる方には、心より感服、尊敬します。
機嫌よく幸せでいることが人生の目的だともいえるような気もします。
少しでもポジティブな面を増やしていきたいものです。
たとえ病気でもポジティブなことに目を向け、それはある意味よかったのだとお互いに励ましあえる関係でありたいものです。