院長コラム
Column
白い病魔
2019年02月13日
水泳の池江璃花子選手が白血病と診断されたことを公表されました。体力あふれる水泳のトップ選手がまさかの本当にびっくりです。
来る東京オリンピックでのメダルと期待されていましたので、多くのファンにとってもショックです。
命にもかかわる不安で精神的にかなりつらい病気ですし、公表することは彼女にとってかなり勇気のいる行動なのだと思います。
なんとか元気になってほしいものです。
昔、白血病は不治の病といわれていました。子供さんや若い方に発症する場合が多いことから、その悲しさや切なさを描くドラマや映画も沢山ありました。
現在では、もちろん白血病は治る病気です。
白血病は血液細胞ががん化して無秩序に増殖する病気です。おそらく少し前まで元気に競技に参加され、急に体調をくずされたとのことですので、急性白血病なのでしょう。
一概に白血病といってもその治療効果や経過はさまざまです。
皆さんが知っている芸能人やスポーツ選手の中でもすぐに元気になられた方もいますし、長い闘病生活となった方もいます。
血液細胞は幹細胞から分化するのですが、どの段階でガン化したのか?遺伝子の変異のタイプは?治療の標的になる白血球の細胞表面のタンパク抗原の特徴は?などで、治療効果や予後がかわってくるのです。
それによって復帰の時期もかなり変わってくるのでしょう。
マスコミやオリンピック関係の方が、いつまでに治らないと東京には間に合わないとか、下火にならないか心配などと評論、コメントされています。
期待したため失望するのは理解できますが、かなり残酷な反応です。
まずは治療に専念し、その後にどうするかはその時の本人の気持ちで決めていけばいいように思います。
髪の毛がすべて抜け落ちるような大変な治療を乗り越えていかなければならないのです。
しっかりしているように見えても、感受性の高い未成年の少女です。先のことは期待しすぎることなく、温かく見守り応援してあげるだけでいいような気がします。