院長コラム
Column

電気はなぜ発生し、体の中を伝わるの?

2017年04月22日

心臓は電気の刺激に反応して収縮するといいましたが、なぜ電気が発生し、伝わっていくのでしょうか?

生物は大昔に海の中で細胞として誕生しました。海の水はしょっぱいのは塩(NaとCl)が含まれているためですが、それ以外にも数多くの電解質が含まれています。電解質は水にとけると、イオンと電子に分離されるので、電気を伝えやすい環境となります。確かに水を食塩水にすると電気が通りやすくなるという実験が理科の実験でありました。私たちの汗や血液もなめると少ししょっぱいので、海水よりは薄いですが、海に近い環境といえます。

生物は外部と内部の環境をわける最初のステップとして壁(細胞膜)を作り、細胞の中に独自の環境を作りはじめました。細胞膜にはイオンの通り道(イオンチャネル)があり、そのチャネルが閉じたり開いたりします。その結果、内外のイオンの濃度差を調節することで電子を移動させ、電気を発生・伝達することができるのです。そういう意味ではイオンチャネルというのは生物にとっても最も基本的なものだと思います。

電解質の中ではナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)のイオンが電気の発生には最も大切です。不整脈は電気信号の異常なので、多くの不整脈の薬はこれらのイオンチャネルに作用し効果を発揮しているのです。

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