院長コラム
Column
新型コロナワクチン
2021年02月02日
新型コロナ感染は減少傾向にあるものの未だ収束せず、緊急事態宣言も延長される見通しです。しかし、一方では期待されたコロナワクチンの接種もはじまりそうな気配です。
新型コロナウイルスのmRNAやDNAの一部を投与することにより免疫を得る従来とは違った新しいタイプのワクチンです。
従来、ワクチンの開発にはかなりの年数を必要としていましたが、この短期間で開発されたということは革新的な方法です。
この方法を使うことによりこれからもより多くのウイルス感染症のワクチンが開発されそうな気もしてきます。
しかしながら、本ワクチンの開発は外資系によるものであり、日本で使用できるのはいつになるかは未定のようです。国益優先ということなのでしょうか。WHOは先進国と途上国での不平等の問題も指摘しています。
その具体的な運用方法は準備中ですが、かなり多数の患者さんが同時期に接種されることになるので、いろいろと工夫・調整することが必要です。
インフルエンザのワクチンよりかなり多数の方を対象に短期間に予防接種する必要があるからです。
また、マイナス60度での保存、解凍後には決められた時間内の使用、1000人単位でのロットにより多人数の同時接種、などの必要性から基幹病院を中心とした協力体制が大切です。
接種後には重篤な副作用がでないか確認するため、しばらくの待機も必要です。蜜を回避するためにも広いスペースが必要ですので、待合室の少ない小さなクリニックでは対応困難のような気がします。
今回の新型コロナへのワクチンはかなりの有効性が期待されています。従来のインフルエンザワクチンは50%程度の感染予防効果があるとされていますが、新型コロナワクチンでは概ね90%程度の有効性で終生免疫に近い強い免疫効果も期待されます。
もちろん感染予防が一番の目的ですが、もし感染しても重症化をふせぐというメリットも期待されます。この点もインフルエンザの予防接種と同じような感じなのでしょう。
もちろんワクチンには副作用もあります。その心配から接種したくない人は多いのだと思います。
最も注意すべき副作用はアナフィラキシーショックですが、それ以外の副作用や不安を上げればきりがなさそうです。
もちろん接種するかどうかの選択は個人の自由です。
まずは医療職が優先して接種される予定ですが、医師の中でも接種しないという方は少なからずいるそうです。
おそらく自分は接種しないのに患者さんにすすめる医師はいないのだと思います。
患者さんには自分で判断しなさいというのでしょうか?接種しないほうがいいと説明するのでしょうか?
さらに接種した人だけでコロナ疑いの患者さんへの治療にあたってほしいというのでしょうか?
などなど勝手ながらもいろいろと妄想してしまいます。
個人的にはワクチンはよほどの禁忌でない限りきっちりと接種したほうがいいように思っています。医療関係者はなおさら接種したほうがいいような気がします。
もちろん接種した人を守るということが第一ですが、周りの重症化するリスクが高い人を守るためにもなるからです。もちろん早々の社会経済への安心・回復にも大切ですね。
今の時代、きっちりと透明性のある臨床治験の手順をふんで認められた治療薬は、副作用だけに注目してその有益性を否定する必要はないだとも思っています。
副作用ばかりをあげて危機感をあおる記事も時折目にしますが、もう少し社会全体の影響や利益も考慮してはとも感じます。
ワクチンの接種を実施したものの蓋を開けるとうける人が多くなく、集団免疫による感染の鎮静化をはかるという本来の目的が、絵にかいた餅にならならないことも願ってしまいます。