院長コラム
Column
空気病
2021年09月28日
世の中はどんどん複雑になり、価値観も様々です。多様な意見を聞きすぎて翻弄されている人も多いのではとも感じます。
その場所・状況の見えない空気に支配されているともいえそうです。そしてその空気はふとしたことがきっかけで急に変化するのでしょう。
うまく対応できる器用な人は大丈夫かもしれませんが、うまく対応できない人も多そうです。
日常でのマスコミ報道を見渡してみても世間の空気を気にしながらできるだけ無難にしようとしているように感じてしまいます。
その基準は刻刻と変動し、少し前まではよかったといわれていたことが、今はだめになったということも多そうです。
少し前まで大活躍していた政治家や芸能人があっという間に引きずり降ろされてしまうことも多々あります。もちろん本人が至らないことがきっかけですが、世間の空気をうまくよめていなかったということもあるのでしょう。
個人的にはお笑いはよく視聴しますが、うけないのはその場の空気をうまくよむことができなかったということなのでしょう。
昔の漫才ブームでは毒舌漫才は大爆笑でしたが、同じネタでは今では冷たい空気となりそうです。
「じじい、ばばあネタ」も昔は鉄板で大爆笑でしたが、今ではタブーとのこと。
また、調子がいい、偉そう、言葉遣いがきついなどの少し毒々しいキャラクターの人はミスをするとそれみたことかということで世間の空気は冷たくなりそうです。
力強いさより弱々しいほうが今の時代の空気にあっているのかもしれませんね。
ネットやSNSでの風評は何人かのオピニオンリーダーにより広められているといわれるので、もしかしたら陰のフィクサーのような人がいるのでしょうか。
こと診療のことを見渡しみても、空気をうまくよめないために心身のバランスを崩してしまって病気になってしまう人もいるようにも感じます。
病名は「空気病」です。もちろん私が勝手に作りましたので、一般的なものではありません。
心が弱っていたり、押し迫る空気にうまく対応できない場合は、思い悩むこともあるのでしょう。
空気を読み間違えたためのストレスや不安が、体調の増悪や病気の発症にも関与していることもありそうです。
自律神経にも影響するために動悸、息切れなどの循環器症状にもつながりますし、不整脈の発症とも密接です。
その場合、もちろん症状への適切な対応も大切ですが、あまり周りの空気に振り回されすぎないことも必要です。
確固とした目的や信念をもつことも大切なのかもしれません。
空気は人間にとって生きていくためには必要不可欠ですが、厳しい空気に飲み込まれないような適切な距離での呼吸法が必要なのでしょう。