院長コラム
Column
血圧管理はきっちりと
2024年07月29日
先日、近隣の基幹病院の脳内科の先生が、「脳に心配がある症状があるようならいつでも紹介くださいね」とわざわざ当院に挨拶にこられました。
その時に血圧管理についての話をしたのですが、脳に異常があって搬送される患者さんの多くは、血圧をきっちり管理されていない人が本当に多いそうです。
もちろん心循環器系の病気では高血圧をきっちりと管理することが大切なのですが、脳の領域ではより血圧を適切に管理することが重要とのこと。
脳梗塞や脳出血への一次(起こす前)、二次予防(起こした後)やその予後の改善には血圧をきっちりと管理することがとても大切なのです。
脳卒中で来られるほとんどの患者さんではかなりの頻度で高血圧が関与しているとのこと。そして認知障害にも関係します。
例えば当院では、狭心症などの動脈硬化所見を有する人は血液をさらさらにする薬を飲んでいただいていますが、かかる方では血圧をきっちりと管理しないと、脳卒中の頻度が倍以上に増加するとされています。
しかし、日常の診療で血圧管理をすることは大切ですよと生活指導をしても素直にはきいてくれないことも多々。
おそらく週刊誌や本なので血圧を管理する必要がないということがよく取り上げられているからなのでしょう。
高血圧は治療する必要がないと。そして安易に薬を出す医者はやぶ医者だとも。
おそらく、その目的は部数を稼ぐということなので、キャッチ―なメッセージや特殊な仮説を展開するほうが一見魅力的です。
しかし、一部の人にしか当てはまらないキャッチ―な題名が、すべての人に当てはまるように書かれていることに多くの勘違いを招いているともいえそうです。
本の内容は世界的な学会のガイドラインと違っていることが多く書いてありますので、それぞれの言い分があるのであれば学会でもきっちりとディスカッションをされた方がいいと思うのですが。。。
確かに高齢になるまで血圧をほったらかしにして動脈硬化がすすんだ状態では、薬の副作用の方がめだってきます。
しかし、比較的若い中年期よりきっちりと血圧を管理することが健康寿命を延ばすことにつながります。
血圧管理は習慣の問題なので、食事を我慢せず好きにする方が幸せだということとは違うのだとも思います。
血圧のことだけにかかわらず医療では、コロナ感染症やがん治療などさまざま意見・仮説や挙句の果てには陰謀説などもでてきます。
多くの情報が飛び交う複雑で忙しい世の中です。最近ではAIによるフェイクのニュースもでてきていますので、どの情報がただしいのかを判断するのはどんどん難しくなっていくのでしょう。
正しい情報をえるには、複数の情報源を比較することによりバイアスを取り除くこと、質の高い情報を選択することなどが大切なのでしょう。
そして、それを習慣化することが健康管理には大切なのだとも感じます。