院長コラム
Column
生涯現役
2017年07月19日
日野原重明先生がご他界されました。やすらかな顔をされての旅立ちのようですね。ご高齢になられても、現役医師の肩書で長い間多くの方に勇気と元気をあたえてくれました。
100歳を超えられても移動中の車の中でもパソコンを持ち込み自ら文章を作成し、海外で英語での講演をこなされるというスーパーマンのような活躍ぶりは、まさに多くの方のヒーローです。日野原先生のようにありたいと憧れている医師も多いのだとも思います。生涯現役のお手本として、これからも多くの方々の心に生き続けられるのでしょう。
先生は、循環器内科学を専攻されており、実は私と専門は同じです。循環器や内科の学会で基調講演をされていましたので、何度か講演を拝聴しました。
心電図に関しての研究をされ医学博士を取得されたこと、周りの方の心配を振り切っての40歳を超えた年齢での留学エピソードのお話は、多くの勇気をいただきました。
人生の大先輩からみると、苦労をされた方は人の痛みを心から感じられる情の深い人間になれるのだそうです。どんどん苦労してよい医者をめざしてくださいというメッセージもありました。
自分の年齢のことはクリニックを開業する際にも確かに気になりました。いつまでクリニックを続けることができるのかということを考え出すと不安にもなります。立ち上げの出費や運営のリスクを考えると、今の時代開業しないほうがいいと判断される先生は実は多いのです。いわゆるコンサルタントが言われるコストパフォーマンスだけを考慮した開業適齢期はすでに10年以上は過ぎていました。
しかし生涯現役!と考えると、クリニックの将来にも迷いはなくなり結構スッキリします。生涯現役の精神は多くの方にチャレンジする勇気を与えてくれますし、いくら歳をとっても遅すぎることはないのだという気持ちにもなります。そして日野原先生が生涯ずっとそうだったように社会の役にたっていると感じることは生き続けるエネルギーを与えてくれることなのだという気もしてきます。