院長コラム
Column
食事と睡眠時間
2017年08月24日
私自身、睡眠は7時間くらい寝るほうで、歳をとっても睡眠時間がへるということは今のところなさそうです。睡眠時間は、3-4時間くらいで十分なショートスリーパーと7時間以上必要なロングスリーパーともとよりそれぞれの人の体質よりある程度は決まっているようです。私はどちらかというとロングスリーパーの部類ですね。
短い睡眠時間で十分と言われる方の話を聞くと少し人生を得するような気もするので、睡眠時間を減らすことはできるのかということを何回かはトライしてみたことがありました。しかし頑張って少し睡眠時間を減らしてみてもしばらく経つとすぐにリバウンドがおきてしまいすぐ元通りです。少々の生活習慣の工夫だけでは、睡眠時間は短くできないというのは私自身の実感です。
しかし、こと食事については睡眠時間に強く影響してそうです。しっかり食事をとると眠くなりますし睡眠と食事をつかさどる中枢が頭の視床下部でそれぞれ隣あっていることも関係しているのかもしれません。
自然界では、一般的には肉食動物は睡眠時間がながく、草食動物は短くなっています。ライオンは15時間も寝るのに、キリンは20分だけで牛や馬も2-3時間ねれば十分のようですね。もちろん草食動物はずっと寝ないで敵を見張っていなければならないのかもしれませんが、食事の内容も関係している可能性もありそうです。
しかし、草食動物の中でもロングスリーパーはいます。コアラやパンダはいつも寝ているイメージがあります。コアラの睡眠時間は一日20時間です。
昔、NHKでコアラの特集をしている番組がありました。コアラはユーカリの葉だけを食べる動物ですが、赤土のあるブリスベンで育ったユーカリの木を食べるコアラは日中も寝ないで元気よく動き回っているという話でした。
理由としては
コアラの主食としているユーカリの木は殺虫剤にも使われる毒をかなり含んでいる。
コアラがずっと気の上でじっと寝ているのは、ユーカリの毒をじっと浄化しながら消化するためである。
栄養分のたっぷりある赤土で育ったユーカリの木は毒が少ないので、そこで生活をしているコアラは寝る必要がない。というものでした。
そういうことを知ると木の上でじっと寝ているコアラはなにかしら苦しそうにも見えてきます。
そして消化にやさしいものを食べると睡眠時間を極端に少なくすることができるという事実はとても面白いなあと当時感じたので今でも記憶に残っています。
もし睡眠時間が消化のしやすさと関係しているというのであれば、肉や脂より野菜、野菜も良質で毒のないものが消化にやさしく睡眠も短くてすむという仮説につながりそうです。
いざ人間についてはどうかと考えると、ある程度は当てはまるのかもしれません。食事制限や絶食は、短期的には睡眠時間を減らすことができます。
またベジタリアンは、睡眠時間がすくないといういくつかも報告がありますし、寝ないで長距離を走り続けるチャンピオンも普段はベジタリアンのようです。しかし、野菜だけの食事やカロリー制限は、雑食である人間においては栄養のバランスを損なうこともありますので注意は必要です。
しかし一方、良質で適切な睡眠は、ストレスの改善、脳と体の休息、体の成長や老化の防止、病気の予防、記憶や学習の定着などのよい効果がありし、良質な睡眠は日常生活の能率も向上させます。ずっと睡眠時間を少なくしたからいいというわけではないのだと思いますし、適切な睡眠時間をとるほうが長期的な寿命もながいとされています。
おそらくは消化にやさしく栄養バランスのよい食事が、良質な睡眠を確保にも必要であり、長い目でみるとそれがいつまでも元気に長生きするには大切ということなのだと思います。