院長コラム
Column

Good&New

2017年10月19日

クリニックの開院時から、仕事のはじめに「Good&New」を行っています。24時間以内におこったGood(よいこと)とNew(新しいこと)を皆で共有しましょうというmeetingです。ある意味一日の挨拶の一つです。企業でもコミュニケーションをよくする方法としてよく使われているということから始めてみました。

まずは皆の気分や雰囲気がよくなるというためにする行うことなので、ぐちや悪口は厳禁で原則Positiveなこと限定です。

始めて半年ですが、やってよかった習慣だと感じています。まずは会話のきっかけになりますし、それぞれのスタッフがどのようなことに興味があり、どのようなこと価値をおいているのかということがよく伝わってきます。クリニックの改善点にもつながりそうな気がします。

そして人が喜び心動かされた話を聞くとこちらも心が満たされ自分も得した気もします。人数が多いと大変ですが、小さな人数なのであっという間の短い時間です。あまり気張りすぎると長続きしなさそうですので気楽にやってみるというのでいいのでしょう。

欧米人ではGoodとNewは挨拶によく使われる言葉です。英語ではGood morning, Good day. What’s new? 日本語では良い一日をお過ごし下さい。新しいことはありましたか?という感じでしょうか。楽しいことはみんなで共有しましょうという主体的で元気な幸せ上手というイメージもあります。昔から「Good&New」が根付いている文化なのだと思います。

一方、日本人でよく使う挨拶の言葉としては、少し控えめでお大事に、お疲れ様などの表現があり、英語に翻訳するとTake careです。「こんにちは」よりもしかしたらこちらの方がよくつかわれているかもしれません。人をいたわるという日本人の少し控えめで思いやりの気持ちを感じる優しいイメージの挨拶習慣です。

いざ一日で起きたGoodはどうだったかな?と考えてみても確かに何気なく生活しいているだけではなかなか思いつきません。Goodは少し意識をしてさがさないといけないものなのだということに気づきますし、それを見つけようとすることは自分の考えや価値観を整理する上でも役にたちそうな気もします。

また、心が動かされたエピソードにはGoodが必ず含まれているのだと感じます。たとえ嫌なことや反省点でもその裏には必ずその原因があります。その原因は自分にとって解決すべきことがあるということなので、自分を成長させてくれるGoodにもつながるのかもしれません。

もし病気になった時でも、病気自体はいいことではありませんが、早く見つかってよかった、ちゃんとした治療をはじめた、診断がついて安心した、など解釈によってはGoodにもつながりそうですね。

一方、Newに関しては、自分で新しいことをする努力と行動は少々必要のようです。疲れているときは煩わしく感じる時もありますが、頑張って新しいことをしようとすることは、楽しいですしそこから元気もでてきます。小さな子供はいつも新しいことが溢れていて心から楽しそうです。

今もノーベル医学生理学賞の候補になっているご高名な先生の講演からのエピソードを思い出しましたので書いておきます。アメリカでの研究留学先のボスから毎朝What’s new?と言われていたそうです。そして毎日新しい研究成果を出せという、なんて厳しいボスだとずっと思っていたそうです。しかし、そのWhat’s new?に答えないとすぐにクビになると思い、毎日夜遅くまで死に物狂いで研究をするはめになり、その結果、超一流の免疫研究の成果につながったとのことです。

後々にWhat’ new?はアメリカ人の普通の挨拶だということを知り拍子抜けしたとの話でした。もちろん実力あってのものなのですが、勘違いもここまでくれば立派なもうけものです。それくらいNewとは秘めた力のある言葉なのでしょう。

Good and Newを実践することにより、日常を見つめ直しよいことを新たに気づかせてくれます。少し大げさかもしれませんが、日々精一杯に生きることや組織運営や個人の人生をも良い方向に変えうる大切な習慣なのだという気もしてきます。

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