院長コラム
Column
宇宙旅行
2018年09月25日
昔、「2001年宇宙の旅」という映画があり、子供の頃将来大人になった時に宇宙旅行ができるかもとわくわくしました。
その後もスターウォーズをはじめ沢山の宇宙を題材にした映画がありました。宇宙を題材にした映画は想像力がかき立てられます。
現実的な宇宙旅行の計画もききます。最近のニュースでは通販のZOZOタウンの社長が宇宙旅行計画を発表したと放映されていましたし、ホリエモンさんもロケットの打ち上げに熱心です。すぐには実現困難でも宇宙への夢のあるイメージが、将来へのビジネスのメリットとも結びつくと考えられるのでしょう。
将来の宇宙旅行、移住計画などは夢のある計画だと思います。しかし夢に水を差すわけではないですがいろいろ解決されなければならない問題は残っているような気がします。
特に健康問題については気になります。医療関係者では同様に心配される方も多いのだと思います。
人類は閉ざされた地球環境の中で適応・進化してきた繊細な生物なので、地球とは全く異なる環境の中、短期間で適応して健康を維持できるのかという不安があります。
特に重力や放射線と健康問題については気になりますので、一部紹介します。
まず重力に関しては、宇宙では重力がなくなりますのでかなり骨量の低下がみられます。骨量は10日で3%程度減少していくとされ、骨粗鬆症の患者さんの10倍の低下速度に一致します。そして体内のカルシウムの放出による尿結石も増加します。
人間の体内の水分のバランスや分布は地球の重力に合わせて調節されています。無重力では水分の再分布により顔がどんどんむくみます。
目や脳も水の中に浮かんでいますので、重力の変化により影響をうけます。宇宙飛行士の方では、帰還後に視力が低下したり、脳の位置が移動したりすることもあるそうです。
放射線量は宇宙では雲や空気がないので地球上にくらべて極端に増加します。福島原発事故の時に一年であびる放射線レベルが1ミリシーベルトを超えるとよくないということで、引っ越しされる方もおられました。しかし地球の大気圏外では、一日で福島原発事故直後の半年分の放射線を浴びる計算になります。
このレベルでは、甲状腺を含めた多くの臓器の癌の発生増加も深刻です。
放射線は循環器系にも影響をおよぼし、宇宙飛行士の中で宇宙に飛びだった人は飛び立たなかった人に比較して、心臓・血管病での死亡率が5倍も高くなり寿命も短くなるそうです。
生殖器についても影響があるかもしれません。女性宇宙飛行士で宇宙に飛びたたれた後に妊娠された方はいないそうです。
その他、重力や放射線以外にも電磁波、温度、宇宙線などなど、さまざまな問題があるのだと思います。
おそらく人類の英知により多くの問題は解決されていくのでしょうが、まだまだ時間がかかりそうな気がします。
やはり人類にとって地球でなくてはならないのでしょう。我々が生まれ育った地球に感謝をし、地球環境を大切にすることが大切なのだと感じます。