院長コラム
Column

わけあっての絶滅

2019年01月23日

子供の時より動物のことは大好きで、今でも自然の中に行くとすぐに動物を探してしまいます。

昔「野生の王国」というテレビ番組がありませいたが、一番のお気に入り難組でした。見たことのないような動物をみるとわくわくします。特に大きな動物がいいですね。

子供の時はみんなそうなのかもしれませんが今でもつづいているのでかなり年期が入っているようです。

クリニックの待合室の本も動物や恐竜の図鑑が並んでいます。今流れているビデオもプラネットアースという自然動物のコンテンツです。

「わけあって絶滅しました」という本も並んでいます。動物は定期的に絶滅して、また進化するというのを繰り返しているのです。特に進化した動物は少しの環境の変化でも絶滅するのです。

恐竜が絶滅したのは、巨大な隕石が地球に衝突したためだとされています。直径10㎞の隕石が、時速70万㎞で衝突しました。その時には、世界中の海で高さ300mの津波がおき、その砂埃で地球が寒冷化しました。

7500万年に一度地球規模の大災害がおき、かなりの生物が死滅するようです。

そこまではいかないまでも数万年に一度程度は大きな自然災害がおき、多くの動物の生存が脅かされます。まずは火山爆発による環境の変化が挙げられます。

火山噴火の火口はカルデラですが、日本では阿曽山が有名ですね。9万年前に大噴火を起こし、その時の火砕流は九州の半分を覆い、海をわたって朝鮮半島や山口県にまでも到達したそうです。

アメリカのカルデラとして有名なイエローストーンは、現在自然国立公園として保護されています。しかし火口といっても巨大です。

以前イエローストーンに動物観察にいったときのエピソードを書いておきます。

いざレンタカーを借りて公園の入り口に到着しましたが、山火事(アメリカでは本当によくあるのです)ということでレンジャーの人から別の入り口から入るように指示されました。

結局別の入り口に到着するのに車で8時間かかりました。日本でしたら東北地方の入り口が閉鎖しているので、中国地方までまわって入ってくれという感じでしょうか。

公園内では野生動物が優先で、うまく人と共存しています。熊、バイソン、シカ(エルク)、オオカミ、鷲などの大型動物が観察できます。特にバイソンやシカは平気でホテルの近くの道を普通に歩いてよく渋滞の原因となっています。

約64万年前の大噴火では、火砕流がアメリカの半分を覆い、地球の平均温度が10度下がったそうです。

今でも数十メートルレベルまで温泉が吹き上がっているところがあります(写真)。

多くの動物が絶滅したであろう跡地で自然公園として野生動物が保護されているのは不思議な感じです。

そろそろ再噴火の時期も近づいているという説もあり、少し前にはそれを題材にした映画もありました。そうならないことを祈ります。

しかし、最近の絶滅のほとんどは自然災害ではなく、人間の都合によるものです。特に大型動物は人間により狩猟されたためです(本によるとほんの少し前までは身長8mで4tのなまけもの、8mで80㎏の鷲、3mで500㎏の類人猿などの巨獣も存在していたとのこと)。

一方、最近日本では獣害が増えてきているようです。地方の過疎化による野生動物との境界がなくなってきているからです。

以前、北海道に月1回出張していたのですが、現地のニュースによると過疎化に伴う限界集落の問題になっています。その集落への道ではヒグマが出没するため、うかつに移動することもできないようになってきているそうです。

札幌市内の出張先の病院の近くも最近ではヒグマが前の山から下りてくるとのことでした。

身近でも妻の山間の実家に伺う時、最近ではシカや猿を見かけますし、裏庭の木の栗はいつも猿に食べられるとのこと。

20年前ではほとんど見かけなかったので動物との住む場所の境界が重なってきているのでしょう。

歴史的に繰り返されたように、動物が絶滅することなく、うまく共存・共栄できる道を模索していけることを期待するばかりです。

 

 

 

 

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